2010年5月30日日曜日

他人にモノ教える難しさ

2010年5月28日「すくすくスクラムin大阪」第2弾に参加した。


参加者は、(個人的な独断と偏見で)20代~40代までの幅広い年齢層であった。

先月開催された第1弾では、スクラムの実習に重点が置かれ、スクラムの基本的理念や概念に関する説明は殆ど無かった。

更に、今回の第2弾では、第1弾より更にスクラム実習により多くの時間が割かれていた。

講師の方にその点について伺った所、「一日でスクラムのすべてを伝える事は難しい。スクラムの実習を通じて、スクラムに興味を持って頂き、参加者自らスクラムの習得を目指すきっかけにしたい」との意図であると明かしてくれた。

この意図には非常に共感する。

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私は、PFP関西/XPJUG関西という2つのコミュニティのスタッフとして、ワークショップを主催する側に立つことがしばしばある。その際、参加者に我々のメッセージが伝える様々な方法を考える。参加者の年齢層、興味を引く内容か、参加者に意図が伝わる内容か、斬新なアイディアはないか、……などなど。悩みは尽きない。

この問題の根本原因の一因は、参加者側の意識にもある。
参加者が、「学び」の意識が無い限り、主催者側の意図は伝わらない。キャッチボールに例えると、相手が投げたボールを無視した場合と同じである。

基本的に無料のセミナーやワークショップは、いわゆる「ボランティア活動」であり、スタッフは無償で活動する。このため、仕事の合間を縫って時間をやりくりし、限られた時間で最大限の成果を発揮しなければならない。そのため、どうしても想定漏れや、考慮漏れが発生してしまう。加えて、参加者の背景、スキル、知識もバラバラなため、すべての参加者が満足する内容に仕上げることは、到底不可能である。

そこで、我々運営側は、「参加してみて、得られた気付きを持ち帰って、自分の仕事にフィードバックして欲しい」との願いを込めて、実施内容を策定することになる。その結果、参加者に理論・理屈を説明する時間が確保できないし、確保しても、参加者全員が「腑に落ちる」かどうかは保障できない。限られた時間の中で教えられることは本当に少ないのである。

主催者側の発表内容は、主催者が自発的に行動して体得した知識や技術の発表の場であり、一丁一石に説明できる簡単なものではない。主催者側は、「参加者に興味を持ってもらい、自発的に探求するきっかけになって欲しい」という事を期待している。1~10まで教えてあげたくても、体験を通じて会得したものを、簡単に人に伝えることはできない。だから、自発的に探求して欲しいという思いがある。

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今回参加された方から、「よくわからなかった」という意見をいくつか聞いた。
私は、「よくわからなかったから、自分で調べてみよう」という発想を抱き、自発的行動に移すことができれば、今回のワークショップに参加した意義があるのではないかと考えている。